歯周病は、歯の周囲の歯肉に繁殖した細菌の毒素によって歯肉が腫れたり、歯を支える骨(歯槽骨)が溶かされていく病気です。かなり進行してくると、歯肉から出血が現れたり、歯がグラグラしてきたりしますが、初期の段階では患者様自身に自覚できるような症状がほとんど出てきません。そのため、歯周病を早期に見つけるためには、歯科医療機関で検査を受ける必要があります。
歯周病の早期から現れる症状の一つに、歯と歯肉との間に隙間ができる歯周ポケットという状態があります。歯周ポケットは、一般には深くなるほど歯周病の程度が進んでいると考えられ、歯肉の入り口から隙間の底の部分までの距離を測定して、重症度の判定に用います。
この距離を測定することをプロービング検査といい、歯周病の基本的な検査の一つとされています。測定には、目盛りのついたプローブ(探針、針状の金属製の器材)を歯と歯肉のすき間にそっと差し込みます。25g程度と、非常に軽い圧しか加えませんので、痛みはほとんどありません。
歯と歯肉の隙間は、歯周病のない健康な歯肉では1~2mm程度なのですが、歯周病にかかった歯肉では3mmを超えるような深さになり、重症の患者さんでは10mmを超えるほどプローブが入っていくこともあります。
一般的に、PDは歯周病の進行度を示します。
0~3mm : 正常、歯肉炎、または軽度・・・・ P1
4~6mm : 中等度歯周炎・・・・・・・・・・・・・ P2
7mm以上 : 重度歯周炎・・・・・・・・・・・・・・・ P3
ポケット測定後に出血部位の有無を調べます。
BOPは歯周病のその時点での活動状況を示します。
BOPが顕著な場合には、歯周病は活動的で進行傾向にあると考えられます。
歯周病が進んでくると、歯を支えている歯槽骨が溶けてきますので、歯肉の下に隠れている歯槽骨の高さを調べることも必要になります。歯槽骨の状態を調べるのに最も効果的な検査がエックス線検査です。エックス線検査は、歯槽骨の溶けてなくなった範囲や程度をかなり正確に知ることのできる検査です。
エックス線検査は放射線被曝が気にかかるかと思いますが、歯のエックス線撮影の際の被爆量については、日常生活で自然界から浴びる1年分の自然放射線の数十から数百分の1程度とされています。エックス線検査で評価される歯槽骨の喪失量は、歯周病によってすでに失われてしまった歯を支える骨の量を示すことになります。
歯周病の直接の原因は、歯の周囲に付着した汚れ(プラーク)です。
プラークが多く付着していると歯周病になりやすくなりますし、また歯周病の治療を進めていくうえで、プラークのつかないようなお口の環境を整えていくことが必要とされています。
プラークの付着量は、染色液を使って染め出してから、軽くうがいをしてもらい、付着している部位がわかるようにします。そして、肉眼で確認して、プラーク付着率を記録します。
プラークの付着率は、治療に対する歯肉の炎症のとれやすさや、治療が終了した後の歯周病の再発などの指標として用いることができます。
各歯のプラークの付着の状態を歯垢の染め出しを行って調べます。
染色率 : 0%~15% ・・・良好
染色率 : 15%~20% ・・・ほぼ良好
染色率 : 20%以上 ・・・注意